
1. 令和7年3月31日までの状況(改正前)
- 省エネ基準適合義務の対象は、主に中規模以上の非住宅建築物でした 。
- 住宅や小規模建築物については、届出義務や説明義務が課されていました 。
- 増改築の場合、原則として増改築部分を含めた建築物全体で省エネ基準に適合する必要がありました 。
2. 令和7年4月1日以降の主な変更点および手続き(改正後)
令和4年6月17日に公布された改正建築物省エネ法により、令和7年4月1日以降に着工する建築物から、以下の点が大きく変わります。
- 省エネ基準適合義務の対象拡大
- 原則として全ての新築・増改築される住宅および非住宅建築物に対して、省エネ基準への適合が義務付けられます 。
- この適合義務は建築基準関係規定として扱われるため、建築確認時に省エネ基準への適合が確認できない場合、確認済証が交付されず着工できません 。
- 適用除外となる建築物には、床面積10㎡以下の新築・増改築 、居室を有しないまたは高い開放性を有することで空調設備を設ける必要がないもの(例:屋外駐車場、畜舎等)、文化財、仮設建築物等が含まれます 。
- 増改築における適合範囲の見直し
- 増改築の場合、適合義務の対象が「増改築を行う部分」に限定され、既存部分を含めた建物全体での適合は求められなくなります 。
- 建築物エネルギー消費性能適合性判定(省エネ適判)
- 対象: 省エネ基準適合義務の対象となる建築物(一部の小規模建築物を除く)は、原則として工事着手前に省エネ適判を受ける必要があります 。
- 手続きの基本:
- 建築主は、所管行政庁または登録建築物エネルギー消費性能判定機関(省エネ適判機関)に「建築物エネルギー消費性能確保計画(省エネ計画)」を提出し、省エネ適判を申請します 。
- 省エネ適判機関等は、受理後14日以内(補正等が必要な場合は最大28日間延長可能)に判定結果(省エネ適判通知書)を建築主に交付します 。
- 建築主は、交付された省エネ適判通知書等を建築主事または指定確認検査機関に提出し、これをもって建築確認済証が交付されます 。
- 工事完了時には、完了検査において省エネ計画への適合性が検査されます 。
- 省エネ適判の省略:
- 住宅において、仕様基準を用いて省エネ基準に適合する場合 。
- 設計住宅性能評価書の交付、長期優良住宅の認定、または長期使用構造等の確認を受けた住宅で、これらを活用する場合 。この場合、建築確認の審査において省エネ基準への適合性が確認されます。
- 計画変更時の手続き:
- 評価方法の変更や用途変更など、重要な変更の場合は「再適判」が必要です 。
- それ以外の「軽微な変更」については、性能向上の度合いや影響範囲に応じてルートA、B、Cのいずれかの手続きが適用されます 。
- ルートA:省エネ性能を向上させる変更等 。
- ルートB:一定の条件下でエネルギー消費性能を低下させる変更 。
- ルートC:再計算により基準適合が明らかな変更(軽微変更該当証明書の取得が必要)。
- 住宅における省エネ適判と住宅性能評価を同一機関に申請する場合の手続きの合理化
- 設計住宅性能評価と省エネ適判を同一機関に申請する場合、省エネ適判用の設計図書等の一部の提出を省略できる措置が講じられています 。
- 性能向上計画認定制度
- 省エネ基準を超える誘導基準に適合する建築物について、所管行政庁が認定を行う制度です 。
- 認定を受けると、容積率の特例(省エネ設備に関する床面積の不算入、最大10%)が適用される場合があります 。
- この認定を受けた建築物は、省エネ適判通知書の交付を受けたものとみなされます 。
本マニュアルには、これらの制度に係る具体的な申請手続き、必要書類、様式作成例などが詳細に記載されています。特に令和7年4月1日からの改正は、全ての建築主および設計者、工事監理者にとって重要な変更点となります。